Artist: Utagawa Toyokuni I
Title: 「御目見え口上」
Date: 1814
Details: More information...
Source:
Waseda University Theatre Museum
Browse all 46,279 prints...
Description:
辻番付では5月7日の初日予定が、6月18日に延期。Z0135-005に同じものあり。改に戌三改とあるので、3月段階で制作か。 「東西/\高うはござりますれども役者の義にござりますれば御免を蒙りまして四方御贔屓の御かた/\様へ御礼の口上ばかりを申上奉りまする 扨いづれも様御存のごとく未熟不調法の私先達て御当地へ罷下りました処 上ミ方生れの下手役者 誠にこれが下世話に申す犬もあるけば棒とやらにて いづれも様の御贔屓御とり立 且は私実父古人歌右衛門の名跡相続のきぼに与りまして永当/\と御入被下御評判よろしき段 乍恐御江戸広大の思しめし厚き御なさけの程いか計か難有仕合に存奉升 したがひまして先達て無拠わけ合ござりましておなこりをしくもかみ方表へ罷登りましたる処御江戸にて御贔屓評判の御影をもちましてます/\上方表御見物さま方の思しめし厚く御とり立の御余光 私身にとりましてはいか計か 誠にこれも御江戸御贔屓様かたの御影と有がたい仕合に奉存升 扨私義も上方表にをりましてもとかく朝夕ねざめに御贔屓御連中様かたのことわすれがたく何とぞいたして今一度御目見へ仕たくかね/\願おりましたる折ふし ふといたしたる持病さしおこりはなはだ大病になやみましたる処さいはひに全快いたし候間 これぞ生れかはりたる御目見えなか/\上方にをる処にあらすと存ましてすぐさま此たひ御当地へ罷下りましてござります。これと申すも御江戸御贔屓のいづれも様へ生前(せうぜん)の御目見へ再び仕度心ざし相とゞき候事と私身にとりいか計か有かたき仕合ニ奉存升 いよ/\相かはらず 新狂言の節は大入御評判のほとひとへに/\希上奉升 中村歌右衛門」